もくじ
ジョコビッチはなぜサーブに時間をかけるのか
日本テニス界が誇るレジェンドの鈴木貴男氏の著書です。
タイトルをパッとみて、「お、あのジョコビッチの強さの秘密の解説本かな」と思いました。
- タイトル ジョコビッチはなぜサーブに時間をかけるのか
- 著者 鈴木貴男
精神論ばかりの解説はもう飽きた! 錦織圭や大坂なおみの活躍からウィンブルドンジュニアを制覇した望月慎太郎まで、日本人選手の躍進に湧くテニス界。しかし、勝ち負けに一喜一憂するだけではもったいない! 有名選手の何が凄いのか? 繰り広げる駆け引きの妙、そして歴史あるテニス競技に固有の魅力とは? 錦織やフェデラー、ジョコビッチといった有名選手とも対戦経験豊富な現役のプロテニス選手でもあり、痒いところに手が届く名解説者でもある著者が、選手の「頭の中」まで理解できる観戦術を伝授する。
ー Amazonより
しかし、この本はジョコビッチに焦点を当てた本ではありません。
もちろんジョコビッチについて書かれている部分はあります。
メインはテニス初中級者や、テニス観戦が好きな方が
試合をより楽しむためのポイントが書かれた本で、とても読みやすい本でした。
勉強になったポイントをいくつか厳選して、読んだ感想を書いていきたいと思います。
本記事のオススメ読者
- テニスで得意ショットがわからない人
- 試合で緊張してしまう人
- サーブがうまくいかない人
自分の長所を伸ばす
自分の得意ショットを作ることが大事
プロはだれでも抜きんでた長所を持っています。
得意ショットもなく、どのショットも平凡だと
プロでは戦っていけないですよね。
フェデラーは正確なショット、
ナダルは左利きであることと強烈なスピンショットを持っています。
なかでも、日本が誇る錦織選手は正確で強烈なバックハンドを持っている、
とイメージしている人が多いと思います。
もちろんバックハンドは錦織選手の長所ですが、錦織選手の最大の特徴は「駆け引き」が抜群にうまいということです。
トッププロは身長も高い中、錦織選手は身長は大きい方ではありません。
それをカバーして勝利を積み重ねている要因が「駆け引きのうまさ」です。
駆け引きのうまさとは
錦織選手は相手の特徴を観察して、弱点を見つけて、
試合展開を自分が有利な状況に持っていくのがうまいです。
ラリーでも冷静に攻撃するタイミングを伺い、いいタイミングで
攻撃を仕掛けてポイントを取ることができます。
相手を観察するので、スロースターターで試合が長引くこともあります。
しかし、錦織選手は
ファイナルセット勝利率は1位の74.4%
と世界一の粘り強さを誇っています。
最後まで諦めないプレッシャーの強さが必要です。
テニスはメンタルスポーツと言われるように、
技術面だけではなく、精神的に強くなることが勝利のカギです。
バックハンドより不安定になりやすいフォアハンド
という人は多くのテニスプレーヤーが持っている悩みの一つです。
特に両手バックハンドは、フォアハンドに比べて
- 体の動きが制限されて、高い弾道のボールが打ちにくい
- リーチが短い
- ボールの位置に素早く移動する必要がある
しかし、この打点でしかバックハンドを打てないという自分のベストな位置がわかれば、
バックハンドの精度は安定するんです。
一方、フォアハンドはバックハンドに比べて
身体の可動域が広いので、どんな体勢、打点で打ててしまいます。
これがフォアハンドのメリットであると同時に、デメリットで安定しない原因ともなります。
多少、無理な体勢でも打つことはできるし、
強打もしやすいので、フォアハンドは不安定になりやすいと言われています。
サーブのトスは高くあげてもいいことがない
サーブは自分のタイミングで打てる、唯一のショットです。
サーブを入れるために高い打点で打とうとして、トスを高くあげようという意識が働きます。
しかし、サーブのトスは高くあげてもいいことがない、と書かれています。
サーブのトスを高くあげて最高打点で打つとしても、
サーブを打った軌道はフラットではありません。
イメージは、少し上に打って風の影響を受けて安定性がなくなるし、
落ちてくるスピードが速いボールを打たなければいけなく、打つのが難しいです。
せっかく自分自身でコントロールできる唯一のショットなので、
自分でハードルをあげてしまうことはせず、
できるだけサーブのトスは低く、というのを意識してみましょう。
効果的なセカンドサーブを練習する
ファーストサーブでエースを量産する選手=サーブのいい選手
と思われがちですが、
効果的なセカンドサーブを打てる選手が「本当にサーブのいい選手」だと書かれています。
セカンドサーブが上手い選手って誰でしょうか?
Infosys社によると、2019年シーズンの通算セカンドサーブポイント取得率は
- 1位 ナダルで59.97%(836/1394)
- 2位フ ェデラーで59.56%(885/1486)
キャリア通算のセカンドサーブポイント取得率でも
1位ナダル、2位フェデラーとなっており、
トッププロの中でも、
この2人がキャリアを通じて
効果的なセカンドサービスを打っていることがわかります。
まとめ
内容も初心者の方でもわかりやすく、
テニス上達のヒントが書かれており、テニス観戦についても
普段見ているポイントとは違った、選手目線での試合の観戦ポイントを教えてくれる本でした。